会議のたびに議事録を書くのが負担、何をどこまで書けばいいのか分からない。そんな方に向けて、議事録の書き方の基本と、そのまま使えるテンプレート・例文、AIを使って議事録を作る手順をまとめました。
大きな会社の会議ではなく、10人前後の会社の社内の打ち合わせや、取引先との打ち合わせを想定しています。
結論:議事録は「決まったこと・誰が・いつまでに」が分かれば十分
- いちばん大事なのは、決まったことと宿題発言をすべて書き残す必要はない。決まったこと、宿題の担当者と期限が分かれば役目を果たせる
- 型を決めておけば、書く時間は短くなる項目が決まったテンプレートを用意し、会議中はそこを埋めるつもりでメモを取る
- AIを使うなら「録音→文字起こし→AIで整理→人が確認」清書はAIに任せ、数字・日付・名前と決まったことだけは人が確かめる
- 小さな打ち合わせは3行で足りる朝礼や現場の5分の打ち合わせは、決まったこと・担当・期限の3行をチャットで流せばよい
議事録とは?何のために書くのか
議事録は、会議で話し合ったことと決まったことを残す記録です。10人前後の会社では、次の3つの役目があります。
- 「言った・言わない」を防ぐ取引先との約束や、社内で決めた値段・納期を、あとで確かめられる
- 出られなかった人に伝える現場や外回りで会議に出られなかった人も、同じ情報で動ける
- 次にやることをはっきりさせる「誰が・いつまでに・何をするか」を書いておくと、決めたことが動き出す
逆に言えば、この3つに役立たない部分は、詳しく書かなくて構いません。議事録は「会話の記録」ではなく「決まったことの記録」です。
議事録に書く7つの項目
どんな会議でも、次の7つがあれば議事録として使えます。
- 会議名・日時・場所「10月定例打ち合わせ 2026年10月16日(金)10:00〜10:45 本社2階」のように
- 参加者出席した人の名前。取引先がいる会議なら、会社名も
- 議題何について話し合ったか。箇条書きで
- 決まったこと(決定事項)いちばん大事な項目。1つずつ、言い切りの形で書く
- 宿題(ToDo)「誰が・何を・いつまでに」をセットで書く
- 決まらなかったこと・持ち越し次回に話す予定のことを書いておくと、同じ話を最初からしなくて済む
- 次回の予定日時が決まっていれば書く
話し合いの流れ(誰がどんな意見を言ったか)は、必要なときだけ短く書きます。値段や条件を決めた会議なら、「なぜそう決めたか」を一言残しておくと、あとで見返したときに役立ちます。
議事録の書き方の手順
会議の前:テンプレートを用意する
白紙から書き始めると、時間がかかるうえに抜けが出ます。下のテンプレートに、会議名・日時・参加者・議題を先に入れておきましょう。会議中は「決まったこと」と「宿題」の欄を埋めることに集中できます。
会議中:決まったことと宿題だけをメモする
発言をすべて書き取ろうとすると、話についていけなくなります。メモするのは、決まったこと、宿題(誰が・何を・いつまでに)、数字(金額・数量・日付)の3つで十分です。話が決まったかどうか曖昧なときは、その場で「では、〇〇ということで決定でいいですか」と確認すると、議事録も書きやすくなります。
会議の後:その日のうちに清書して送る
時間がたつほど、メモの意味を思い出せなくなります。清書は会議の当日中、遅くとも翌日までに済ませて、参加者に送ります。送るときに「違っているところがあれば教えてください」と一言添えておくと、間違いがあっても早く直せます。
そのまま使える議事録テンプレート
コピーして、メールやチャット、Word・Googleドキュメントに貼って使えます。
【会議名】 【日時】 月 日( ) :〜 【場所】 【参加者】 【議題】 ・ ・ 【決まったこと】 1. 2. 【宿題】 ・(担当: /期限: 月 日) ・(担当: /期限: 月 日) 【決まらなかったこと・持ち越し】 ・ 【次回】 月 日( ) :〜 【記録】
議事録の例文
上のテンプレートを使った例です。製造業の会社の月1回の打ち合わせを想定した、架空の例です。
【会議名】10月定例打ち合わせ 【日時】2026年10月16日(金)10:00〜10:45 【場所】本社2階 会議室 【参加者】山田(社長)、佐藤(製造)、鈴木(事務)、田中(営業) 【議題】 ・年末の繁忙期の生産計画 ・見積書の作り方の見直し 【決まったこと】 1. 12月の出荷は、11月中に前倒しで2割作っておく 2. 見積書の送付メールは、来月からAIで下書きを作る形を試す(1か月後に続けるか判断) 【宿題】 ・前倒しで作る品目の一覧を作る(担当:佐藤/期限:10月23日) ・見積書の送付メールの指示文を作り、共有する(担当:鈴木/期限:10月30日) ・取引先A社に、年末の納期の目安を伝える(担当:田中/期限:10月20日) 【決まらなかったこと・持ち越し】 ・年末年始の休みの日程(11月の打ち合わせで決める) 【次回】11月20日(金)10:00〜 【記録】鈴木
小さな打ち合わせは「3行議事録」で十分
朝礼や、現場での5分ほどの打ち合わせにまで、上のような議事録は要りません。決まったことがあったときだけ、次の3行をLINEやチャットで流せば十分です。
3行議事録の例
決定:B製品の検査は、来週から2人で行う
担当:佐藤
期限:10月20日(火)から
書く手間がほとんどかからないので、記録を残す習慣が続きやすくなります。
わかりやすい議事録を書く6つのコツ
- 決まったことを先に書く読む人がいちばん知りたいのは結論。話し合いの流れは後ろへ
- 「決まったこと」と「意見」を分ける「〇〇という意見が出た」と「〇〇に決定」が混ざると、何が決まったのか分からなくなる
- 宿題には、必ず担当者と期限を付ける「検討する」「調整する」だけでは、誰も動かない
- 数字・日付・名前は正確に金額、数量、納期、社名は、聞き間違いがないかいちばん気をつける
- 話し言葉をそのまま書かない「えーと、たぶん来週くらいに」ではなく「来週中に対応」と、短く言い切る
- 当日中に送る記憶が新しいうちに清書し、参加者に確認してもらう
AIで議事録を作る手順
ここからは、AIを使って議事録を作る方法です。AIに任せるのは「文字に起こす」と「議事録の形に整える」の2つで、確認と共有は人が行います。
1. 録音することを、参加者に伝える
録音は、会議の最初に「議事録を作るために録音します。議事録ができたら録音は消します」と一言伝えてから始めます。取引先がいる会議なら、事前に了解をもらっておくと安心です。黙って録音すると、あとで知られたときに信頼をなくします。録音を断られたら、無理にせず、メモで議事録を作ります。
2. 録音を文字に起こす
文字起こし(音声を文字にすること)は、すでにお使いの道具でできることが多いです。
- オンライン会議なら、会議ツールの文字起こし機能Teams・Zoom・Google Meet には、プランによって会議の文字起こしや要約の機能が付いている(無料のプランでは使えないこともある)
- 対面の会議なら、スマホの録音アプリ文字起こし機能のある録音アプリや、AIサービスに音声ファイルを渡して文字にする
- 回数が多いなら、議事録専用のアプリ録音から要約までまとめてできる。無料で使える時間に上限があるものが多い
マイクは、話す人の近くに置くほど聞き取りがよくなります。会議室の真ん中にスマホを1台置くだけでも、離れた場所から録るよりずっと正確になります。
3. AIに議事録の形に整えさせる
文字に起こした内容は、話し言葉のままで読みにくいので、AIに議事録の形に整えてもらいます。指示の例です。
指示の例
以下は社内の打ち合わせを文字に起こしたものです。次の形で議事録にまとめてください。
【会議名】【日時】【参加者】【議題】【決まったこと】【宿題(担当・期限)】【決まらなかったこと】【次回】
条件:話し言葉は短く言い切る形に直す。文字起こしに書かれていないことは足さない。聞き取れない部分や、意味がはっきりしない部分は【要確認】と書く。
ポイントは最後の条件です。AIは、話の流れからもっともらしい内容を補ってしまうことがあります。「書かれていないことは足さない」「分からない所は【要確認】」と頼んでおくと、確認すべき場所が一目で分かります。
4. 人が確認する
AIがまとめた議事録は、送る前に必ず人が読みます。全部を細かく見直す必要はなく、次の4つを確かめれば十分です。
- 決まったこと本当に決まったことか。意見が「決定」に化けていないか
- 宿題の担当者と期限担当者の名前と日付が合っているか
- 数字金額、数量、日付。「15」と「50」のような聞き間違いが起きやすい
- 名前・社名・製品名・地名人の名前、取引先、自社の製品名、地元の地名は、文字起こしで間違えやすい
方言や、社内だけで通じる言葉も聞き間違いが起きやすいところです。よく出てくる社名や製品名は、指示の中に「社名は〇〇、製品名は〇〇」と書いておくと、表記がそろいます。
5. 参加者に送り、録音を消す
確認した議事録を参加者に送ったら、最初に伝えたとおり録音を消します。録音や文字起こしのデータは、会議の内容がそのまま残っているので、議事録よりも扱いに気をつけたい情報です。
議事録アプリ・AIツールの選び方
議事録用のアプリやAIツールはたくさんあります。最初から有料のものを契約する必要はありません。
- まずは、今ある道具で試す会議ツールの文字起こし機能や、すでに使っているAIサービスで2〜3回作ってみる
- 入力した内容が学習に使われないか無料のサービスほど、利用規約で確認したい。社外の人の発言も含まれるため
- 録音や文字起こしの保存先と、消し方どこに保存され、自分で消せるか
- 日本語の聞き取りの正確さ実際の自社の会議を1回録って試すのがいちばん確実
- 無料で使える時間の上限と料金月に何時間会議があるかを先に数えておくと選びやすい
会社でAIを使うときのルール(入れてはいけない情報、学習の設定)は、「AIで業務効率化する方法」の「情報漏えいを防ぐ社内ルール」でまとめています。
取締役会・株主総会の議事録は別もの
ここまで説明したのは、社内の打ち合わせや取引先との会議の議事録です。取締役会や株主総会の議事録は、会社法で書くことや保存の仕方が決まっているので、扱いが違います(取締役会の議事録は、取締役会を置いている会社だけの決まりです)。
- 書くことが決まっている日時・場所、議事の経過の要領と結果、出席した役員など。決められた項目が欠けないようにする
- 保存の期間が決まっている取締役会・株主総会の議事録は、会議の日から10年間、本店に備え置く。支店がある会社は、株主総会の議事録の写しを支店にも5年間置く
- 署名などの決まりがある取締役会の議事録には、出席した取締役・監査役の署名か記名押印が要る(電子データで作るなら電子署名)
AIで下書きを作ることはできますが、決められた項目がそろっているかは、司法書士などの専門家に確認してもらうと安心です。
よくある質問
議事録は誰が書くのがいいですか?
会議で話す中心の人(社長など)以外が書くのがおすすめです。話しながら記録を取るのは難しいためです。担当を固定せず、持ち回りにすると、一人に負担が偏りません。
発言は、そのまま書いたほうがいいですか?
社内の打ち合わせなら、そのまま書く必要はありません。決まったことと宿題を中心に、要点だけを書きます。取引先との条件の話など、言い回しが大事な場面だけ、発言に近い形で残します。
手書きのメモでもいいですか?
構いません。ただし、写真に撮って共有するだけだと、あとで探しにくくなります。決まったことと宿題だけでも、チャットやメールに文字で残しておくと、検索して見つけられます。
AIで作った議事録は、そのまま送っていいですか?
送る前に、決まったこと・宿題・数字・名前の4つだけは人が確かめてください。AIは聞き間違いや、話していないことを補ってしまうことがあります。
まとめ
- 議事録は「決まったこと・誰が・いつまでに」の記録発言をすべて書き残す必要はない
- テンプレートで項目を先に決めておく会議中は決まったこと・宿題・数字だけメモする
- 小さな打ち合わせは3行議事録で決定・担当・期限をチャットで流す
- AIを使うなら、録音前に伝えて、送る前に人が確かめる文字起こしと清書はAI、確認と共有は人
- 取締役会・株主総会の議事録は会社法の決まりに沿う下書きはAIでも、項目と保存は専門家に確認
議事録づくりは、AIで手間を減らしやすい仕事の一つです。ほかにAIに任せやすい事務作業は、「AIで業務効率化する方法」で紹介しています。
参考:会社法(第318条 株主総会の議事録、第369条・第371条 取締役会の議事録)、会社法施行規則(第72条・第101条 議事録の内容)